Hakuhodo DY ONE のFelo導入と業務変革

株式会社Hakuhodo DY ONE は、博報堂DYグループのデジタルマーケティング会社として、国内外のクライアント企業に対して、デジタル起点でのマーケティング戦略やテクノロジー活用を包括的に支援しています。
日々多様な情報を扱いながら統合的なマーケティングサービスを提供している同社は業界の中でもAIをいち早く導入しており、次世代AI検索・エージェントプラットフォーム「Felo」が現場で活用されています。
今回は、第十二ビジネスデザイン本部の島原 正列様、テクノロジーR&D本部
の上野 裕之様に、Felo導入の背景や具体的な活用方法、業務にもたらした変化、そして今後の展望についてお話を伺いました。
本インタビューを通じて、「AI活用は、業務効率化にとどまらず、仕事の進め方そのものをアップデートしていく」ということが明らかになりました。企業における、AI活用の最前線を現場のリアルな声を通じてお伝えしていきます。
AI導入前の課題と背景
―― まず、Felo導入前に感じられていた課題について教えてください。
島原様:広告会社としてマーケティングに携わる上で、市場調査やトレンド把握は欠かせない業務です。これは昔から変わりません。しかしながら、近年は情報流通量の増加と多チャンネル化に伴いリサーチ対象が非常に増えており、業務の負荷が高まっていると感じていました。
リサーチでは、Web検索だけではなく、SNS、論文、業界レポートなど、複数の情報源を横断的に調べる必要があります。その一方で、それぞれを別々のツールで調べ、情報の信頼性を見極めながら整理するには、大変な時間と労力がかかっていました。
また、「リサーチの手法」は、社員個人の経験やスキルに依存しやすく、属人的になりがちな点も課題でした。「調査に時間がかかる」「やり方にばらつきがある」という状況は、組織として改善したいポイントでした。
AI検索・AIエージェント導入を検討した理由
―― AI検索やAIエージェントの導入を検討された背景について教えてください。
島原様:実は、検索AIの必要性はかなり前から感じていました。導入当時(2025年4月ごろ)は、今ほど検索AIの選択肢が多くなく、加えて、日本語環境で実用的に使えるツールは限られていた印象です。
その中で重視していたのが、「どのソースから情報を取ってきているのかが分かること」でした。マーケティング調査を行う上で、SNS、Web、論文など、それぞれの情報ソースを選択できることはとても重要です。
上野様:重視していたのは、セキュリティ面です。企業として導入する以上、セキュリティが強固であり、安心して使えることは欠かせない条件でした。

Feloを選んだ理由 日本語検索の品質と、パワーポイントアウトプット
―― 数あるAIツールの中で、Feloを選ばれた理由は何だったのでしょうか。
島原様:社内でAI導入を検討するにあたり、海外のツールも含めて、いくつかのサービスを並行利用して比較検討していました。
実務で使用する中で、Feloは他社のAIと比較して、とりわけ「日本語で行う検索」に非常に優れており、アウトプットに大きな違いを感じていました。Feloは、日本語で検索した際の結果が、全体としてしっくりくる印象があり、使いやすいなと思いました。
検索機能とは別に印象的だったのが、リサーチ結果をそのままパワーポイント形式で出力できる点です。日本のビジネスシーンでは、プレゼンテーション資料が意思決定の中心になることが多いので、この機能には大きな可能性を感じました。
上野様:私たちの業界では、AIを実務に活かしつつ、それをクライアント企業に対してどう提案していくかが重要です。セキュリティ面において、Feloが日本発の企業であること、日本国内のAWSを使用していること、AI学習にユーザーデータを一切使用しない形での利用が可能であることもポイントでした。Feloは「日本のビジネス環境に最適化されているツール」という印象です。
日々の業務での活用方法 プロジェクト初期段階の「たたき台」作りに活用
―― 現在、Feloはどのような業務で活用されていますか。
島原様:主に、プロジェクトの初期段階で活用しています。プロジェクトがスタートしたら、まずFeloでリサーチを行い、一般的な情報や市場動向を把握する、という流れがチームでも定着してきました。
FeloはSNS、Web、論文など、ソースを指定しながら情報を集められるので、多角的な視点でリサーチできます。その結果をパワーポイントで出力し、チーム内で「たたき台」として共有しています。これにより、ゼロから資料を作る必要がなくなり、チームでの「議論のスタート地点」を素早く揃えられるようになりました。
導入効果 調査から資料化・認識合わせまでのリードタイムを短縮
―― Felo導入後、現場ではどのような変化を感じていらっしゃいますか?
島原様:一番大きいのは、やはりスピードです。調査から資料作成までの時間は、明らかに短縮されました。
また、以前は、ある程度時間をかけて資料を作り込んだ後に「やはり方向性が違った」と気づいて軌道修正することもありましたが、今はたたき台を早い段階で共有することで、そのズレを早めに解消出来るようになりました。その点は、大きな変化だと感じています。
一方で、Feloはあくまでドラフト作成のためのツールだと考えています。「0から1」をAIがサポートし、その後のブラッシュアップや最終判断は人が担う。そうした役割分担が、社内でも自然に共有されてきました。
―― 具体的にはどの程度調査時間が削減され、業務の効率化に繋がったのでしょうか。
そうですね、調査そのものはテーマにもよりますが、ファクトチェックやノイズ除去にかかる時間を織り込んだうえで1~2割程度の削減になっています。一方で、調査~資料化までの一連では2~3割程度は短縮できています。、早い段階で認識共有ができるため、手戻りが減り、チームでの意思決定までのスピードにも効いてがしています。
運用上の工夫と、新たに見えてきた課題
―― 運用する中で、想定外だった点や工夫されている点はありますか。
島原様:情報収集のスピードが上がった分、情報を精査する負荷はむしろ増えたと感じています。短時間で大量の情報が出てくるので、その中に混じったノイズをどう取り除くかが重要です。ここでFeloにあるソース元を選択して調査できる機能によって精査する負荷を軽減することができています。
そのため、Feloのアウトプットに対しては「完璧を求めない」「たたき台として使う」と割り切っています。情報に関する最終的な責任は人が持つ、AIのせいにしない、という意識をチーム内で共有することも大切にしています。
今後の展望と「LiveDoc」への期待 生成AIの理解や信頼度アップに貢献
―― 今後、Feloに期待されていることを教えてください。
島原様:最近リリースされた「LiveDoc」機能には衝撃を受けました。これは私が期待していた方向性そのものです。
GoogleのNotebookLMをはじめとして、AI各社が「限定した情報をAIに読み込ませる」方向に進んでいます。LiveDocは、そういった機能を有しつつ、更にホワイトボードのような形式で情報を視覚的に整理しながら、チームで共同編集できる部分が画期的だと思います。
現在のAIは、結果だけを見ると非常に完成度が高い一方で、「なぜこの結論になったのか」「途中でどのような判断が行われたのか」が見えにくい側面があります。LiveDocのように、AIの推論プロセスや調査の流れが段階的に記録・共有される仕組みがあれば、生成物への理解や信頼性は格段に高まると思います。
これはプロセスを通して「Reason to Believe(信じる理由)」を提供することであり、とりわけ広告業界では非常に重要です。
AI活用を検討している企業へのメッセージ
―― 最後に、AI活用を検討している企業や担当者へのメッセージをお願いします。
島原様:ツールを選ぶ前に、まず「自社の業務フローを細かく分解すること」が大切だと思います。どこをAIに任せ、どこを人が担うのかを整理した上で導入すると、より効果的なAI活用が実現しやすくなります。
AIの進化の速さは目まぐるしいものがあります。使う側は、完璧を求めず、まず使ってみる。そうすることで、進化をリアルタイムで実感できます。今できなかったことが、半年後にはできるようになっている、その差を体感できることは、AIの価値を見極める上で大きな意味があります。
「LiveDoc」のUIは、「AIと人が共に働く」感覚を養うのに非常に適していると思います。プロセスを可視化しながら、チームで協働する体験は、AI活用の本質を理解する手助けになるはずです。時代の最先端の機能を兼ね備えたFelo を導入することは、チームを“AI時代の働き方”へ進化させる第一歩となるのではないでしょうか。
Felo(AI)の導入は、チームを“AI時代の働き方”へと進化させる絶好の機会と捉えていますが、一方で、「どの業務をAIに任せるべきか判断がつかない」「具体的な活用イメージが湧かない」といった理由から、あと一歩を踏み出せずにいる企業様も多いのではないでしょうか。
Feloのような先進的なツールは、導入するだけでは真価を発揮しないのも確かです。組織ごとの業務フローに合わせて活用方法を最適化し、そのポテンシャルを最大限に引き出すプロセスこそが重要となります。
Hakuhodo DY ONE は、FeloをはじめとするAIに関する豊富な知見に加え、自社での活用推進を通じて得た実践的なノウハウを有しています。単なるツール提供にとどまらず、AI定着の鍵となる社内コミュニケーションのデザインまでを見据えた支援が可能です。Feloの導入やAI活用、特に“AI時代の働き方”に興味をお持ちの企業様は、当社の知見とリソースもぜひご活用ください。
取材対象者プロフィール
Hakuhodo DY ONE
第十二ビジネスデザイン本部 統合プランニング局 メディアDX推進部
兼 AI戦略企画室
島原 正列 様
Hakuhodo DY ONE
テクノロジーR&D本部 DX開発推進局 AI事業企画部 兼 事業開発局
上野 裕之 様